- WEB拍手お礼ページ用・SS募集 -
WEB拍手お礼ページ用のSSを募集、公開させていただいていました。
2009年9月から2010年2月まで募集、2009年10月から2010年3月までの公開でした。

投稿してくださった作家の皆さま、ありがとうございました!!


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↓↓ 11月・投稿作品 ↓↓
文・羅菜さま

用具倉庫は夏暑くて冬寒い。
しかもそれが半端ない。 夏は湿気と熱気がこもり外よりも暑く、冬は隙間風に床や道具が冷たく、作業をするには最悪の条件だ。

しかし作業をしないわけにはいかない。
現に二人はその用具倉庫の中で作業をしているのだが・・・。


「寒い・・・・寒い!寒いぞ作!!」
「寒い寒い言ってたらもっと寒いですよ先輩」
「暑い暑い暑い暑い・・・・  暑くならない・・・」
「なるわけねーでしょ!」

留三郎は寒さに弱い。
まだ11月言えど留三郎には辛いものがある。

「今度ヒーターでも作ったらどっすか?」
「時代錯誤だぞ作。 それにそれはカラクリ寄りだから俺には作れんな・・・」
「ですね。 火鉢も炭代が食いますしね・・・」

そんな会話をしながら二人は作業をしていたのだが、ふいに留三郎が道具を置いた。

「先輩? 手動かしてたほうがあったまり「作、おいで!!」 「は!?」

作が顔を上げると、そこには満面の笑みで両手を挙げて『おいで』のポーズをとっている留三郎がいた。

「いやいや! いくらチビ達がいないからってなんで俺になるんすか!?」
「俺はいつも作にもやりたいと思ってるぞ!でも作怒るから・・・」
「怒るにきまってんでしょーが!!」


そう、いつも留三郎は1年生3人に抱きついて暖をとっているのだが、(作兵衛に抱きつくと怒られるから)
あいにく1年生は実習に行っているのでいないのである。


「別にいいじゃないかむぎゅーってしたって! 減るものなんてないじゃないか!!」
「作業が進まねぇじゃないですか!」

もちろん作業が進まないのもあるが、作兵衛は留三郎に抱きつかれると心臓が煩くなり、それが密着している留三郎に聞かれて自分に余裕が無いと知られるのが嫌だから。
作兵衛は留三郎と少しでも対等の立場でいたいと思っているのだ。


「じゃー作は俺が凍死したって良いと思ってるのか!?」
「凍死なんてするわけないでしょ!」
「他の人はしなくても俺はするんだー! えい!」
「ちょ、先輩!!」
「来てくれないなら俺から行けばいいな!」

留三郎が作兵衛に抱きついてきたので、作兵衛は留三郎の腕の中でもがくが、やはり6年生には敵わない。
しばらくはもがいていたが、そのうち反抗を止めて大人しく留三郎の腕のなかに収まった。

(音・・・聞こえてねぇかな?)

それが気になっている作兵衛の耳に、留三郎の音が聞こえてきた。

(・・・・あれ? 先輩の音・・・)

普通の音よりも、 明らかに速いソレ

(もしかして・・・先輩も?)
(・・・暖かい)


「あったかいなぁ〜作〜〜」

そんな風になっているとは思わせない声。
それでも音はなお速いまま。



「・・・そっすね・・・」
最初はガチガチだった作兵衛も、今は留三郎に体を預けていた。


二人はそのまま、暖かい温もりを感じながら眠りの世界へと旅立って行った















その後おつかいから帰ってきた1年生3人に起こされ、作兵衛がしばらく留三郎に会うたびに音がとても速くなったのはまた別の話。


...END
 


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