- WEB拍手お礼ページ用・SS募集 -
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WEB拍手お礼ページ用のSSを募集、公開させていただいていました。 2009年9月から2010年2月まで募集、2009年10月から2010年3月までの公開でした。 投稿してくださった作家の皆さま、ありがとうございました!! 制作者さま以外の作品の転載・転用は禁止です。 HPにお邪魔するさいは、マナーを守ってご迷惑をおかけしないようにしてください。 ご協力お願いいたします。 |
↓↓ 2月・投稿作品 ↓↓
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作兵衛は『作』という名前の女の子です。 ネーミングのセンスのねぇ! 女体化嫌い…な方は、お戻りください。 寛大な方、スクロールです。 差し出されたのは一本のピンク色をした薔薇だった。 「作、今日が何の日か知ってるか?」 「…………ば、バレンタインデー、です。」 いつもよりも穏やかに話す留三郎が怖かった。 留三郎は近所で有名な悪ガキと評判の中学生だが、年下にはお兄さん的存在だった。 面倒見がよく、手先も器用で簡単な修理などは業者に頼むよりも留三郎に頼むほうがざらだ。 もともとクールな顔立ちで、喧嘩っ早いところがあり、一見では恐そう。 しかし少し天然で、たまにすっとぼけたところもある。 親しみやすさのは彼の人格からか。 それとも元からの子供好きが滲み出てるのか、彼の周りには子供が集まった。 留三郎兄さん。などと呼び慕っている。 作もその一人だ。 近所で、これまた有名な迷子二人組を一緒に捜してもらったり、 中高大一貫の大川学園の入試試験のため、勉強を教えてもらったり。 そのお礼に、というのもおこがましいが、ときどき差し入れをしたり、手作りお菓子を渡したりした。 不格好なお菓子を、いつもはクールな顔をくしゃくしゃにして喜んでくれた。 優しいお兄さん。 その留三郎が今、一輪の薔薇を持ち、作の目の前に立っている。 「あ、あの…、留三郎兄さん…これって…」 「バレンタインデーで女の子が男にチョコを渡す風習は、日本特有なものなんだ」 「はぁ、……?」 よくわからない講釈が始まった。 困惑して、留三郎の顔を見た。 「欧米では恋人が贈り物をする日なんだ。だから男女は関係ない。」 「へ…」 「作が好きだ。」 「……へ、えぇぇぇぇぇぇぇ!?」 絶叫がご近所に響く。 通行人も仰天して作を見るくらいの素っ頓狂な声だが、今の作にはどうでもいい。 留三郎が、自分を。 いやいやいやいや。 ありえない。 自分で言うのもなんだが、女らしいところが皆無で、最近主張し始めた胸が唯一、らしいところだ。 そんな自分を… ぐるぐると思考が入り乱れる作に苦笑いを浮かべた。 「入試前にすまん。返事は急がないから、少しでも考えてくれ」 そっと差し出した薔薇を持たせてくれた手が若干震えてる。 ようやく、留三郎が緊張していると気付いたときには、足早に帰ってしまった後だった。 残されたのは一輪の薔薇と同じ色の想い。 首まで朱くなったかわいらしい女の子。 そして、 「う、嘘だぁ…」 そっと、鞄の奥底にしまい込んでいた。 留三郎への甘い甘いチョコレート。 End |
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